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2007年 8月3日 契約書の効力、覚書・念書等について
先日、土地を買うことになったという人から、売り主は、仲介業者を入れないで、市販の契約書で契約を済ませ、不十分なところは、覚え書きで補いたいというようなことを言っているが、それでよいかどうか。契約書と、覚え書きとの関係はどうなるのか、念書というものもあるようだがどのようなものか、というような相談を受けました。以前にもそのような相談を受けたことがあるので、契約書について少し整理して次に記載してみます。 民法では、特別な場合を除いて、契約の申し込みの意思表示と、それに対する承諾の意思表示が合致すれば、契約が成立することを前提に、契約に関する規定が設けられています。従って、契約書等の書類は必ずしも必要ではありません。特別な場合というのは、保証契約は書面でしなければ効力を生じない(第446条第2項)とか、書面によらない贈与は撤回できる(第549条)というように限られております。売買につきましても、書面によることは要件として要求されておりません。民法第555条では、「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」としております。つまり、売る側が目的物の所有権をあなたに移転しますと言い、買う側が代金をあなたに支払いますと言えば、売買契約は成立することになっております。しかし、これを書面にしておかないと,後で言った言わないのトラブルが生じかねません。また、何の売買なのか、数量・価格はどうか、引き渡しの時期・方法・場所・手続等はどうするのかを決めておかないと後で困りますし、所有権移転時期、代金の支払時期・支払方法等も決めておかないと揉め事のもとになりかねません。そこで、それを書面にしておくと安心ということで、不動産の売買と言うような重要な売買につきましては、売買契約書等の書面を作成した上で売買が行われることが通常です。 そこで、書面にするということでは、市販のものを利用しようが、その他の方法で作成しようが、変わりがないと一応言えますが、契約書に記載される内容が実際に合ったもので、解釈上も疑義のないものなければなりません。その点、市販の契約書では、費用は安く上がりますが、実情にぴったり合わないことが多く、市販の契約書に契約者の意思を曲げて合わせるというようなことは主客転倒と言うことになります。そこで、勢い、覚え書き等で、不都合を補おうとすることになりますが、そうした場合、契約書と覚え書きとの間で、矛盾が生じたりして、解釈上疑義が生じ、紛争に発展するようなことも良くあります。そこで、法律のプロに相談したり、契約書を作成してもらうことが必要となってきます。要するに、内容が法律的に整理されていて、紛争の生ずる余地がないような契約書が理想であり、万一、一方が契約を破って訴訟となるような場合も、証拠として十分通用するものが求められているということになりなす。その点、公正証書は証明力として、真正に作成されたという「公正の効力」を有し、そのうえ、金銭支払い等については、義務者が義務の履行をしないような場合は訴訟によらず強制執行することができる「執行力」を有するものですので、公正証書にするに超したことはありません。しかし、費用もかかり、公証役場にも出頭しなければならないということから、それをわずらわしく思う人もいます。公正証書にしなくとも、執行力はありませんが当事者が署名のうえ実印で捺印し合い、印鑑証明書を添えると証明力が格段に高まります。また、不動産の売買につきましては、必ず所有権移転登記が伴いますので、その際司法書士が立ち合って、契約内容を確認することになっております。 契約書面のタイトルは、必ずしも「契約書」とせず、それ以外としても、法的効果に変わりはありません。そこで、「合意書」等としてもかまいません。なお、通常、「覚書」は、契約書の付随事項を文書にする場合や、契約書にするまでもない簡単な取り決めを文書にする場合等に用いられ、当事者全員で署名捺印します。また、「念書」は、契約当事者全員で署名捺印するのではなく、一方当事者が相手方当事者に差し入れる形式を取ります。しかしこれも契約書面には相違なく、相手方の黙示の承諾を前提とする、義務負担の意思表示と解されています。なお、「売渡証書」も差し入れ形式ですが、伝統的に登記原因証明文書として利用されており、契約書と同等の法的評価を受けております。 |